2021年度 理事長 所信

2021年度 理事長
山下 浩史

はじめに
私たち一般社団法人須坂青年会議所は、東に根子岳、四阿山からなる雄大な山々と西に流れる日本最長の河川である信濃川、四季折々の多彩な環境に恵まれており、製造業の工業団地が市内各所にみられる須坂市、一年を通して日本中から観光客が訪れる商業が盛んな小布施町、村全体がユネスコエコパークに登録された豊かな自然と昔ながらの温泉街が望む高山村を活動圏域としています。
須坂青年会議所は、このまちを若い力でより豊かにしようという志のもと1969年に設立されてから53年の長きにわたりこの地域をより良くするための運動を先輩諸兄諸姉の願いと共に歩み続けてまいりました。受け継がれた創始の想いは今も私たちの不変の信念として色褪せることなく輝いています。
一昨年、元号が平成から令和に変わった新しい時代の幕開けは、観測史上最大級である台風19号の発生により私たちの活動圏域にも甚大な被害をもたらしました。多くの人の想いが大きな力となり復興への光がさしかかった2020年初頭、人類が初めて直面する厄災である新型コロナウイルス感染拡大により従来の生活様式も一変し、生業にも大きな影響を与え、まちの伝統行事の多くが延期や中止となるなど、今なおこの禍の終息は見通すことができません。このような波乱に満ちた時代だからこそ、地域をより良くしたい、守りたいという情熱をもち、時代の流れを的確にとらえ一人ひとりが知恵を出し合い行動を起こせる私たち須坂青年会議所が地域に必要と信じています。

絆をより強くする共通認識を持ちたい
青年会議所の活動を行っていくうえで最も大切にしたいものが、組織としての一体感であると感じています。
本年の青年会議所は新入会員も多く、入会歴や経験役職も様々ですし入会経緯や活動理由も個々に違います。まずは会員すべてが本質となる青年会議所の使命を今一度正確にとらえ、青年会議所で活動する意味を持ちあうことで連帯感のある活動を創出していきます。会員拡大の勧誘活動をみても、青年会議所について会員すべてが同じ共通認識を持ち、全員が同じ言葉で活動の意義を伝えることが勧誘対象者からの信用を得る大きな一歩になるはずです。また、事業構築の面からみても、様々な意見をもつ個人が集う以上は、時に誤解や衝突を生じてしまうこともありますが、活動の原点となる共通認識があることで冷静に事業の方向を指し示すことができ再び議論を推進させることができます。青年会議所の個性豊かな一人を結ぶ共通認識の存在が、共に活動する仲間とのより良い信頼を構築し、須坂青年会議所の絆を強くすると信じています。

多くの仲間を求めて
今までの勧誘対象者には、個人事業主や企業の経営に深く携わり、青年会議所の活動に参画できる時間をつくることのできる人物が対象となっていましたが、それは大きな間違いであったと学びました。そもそも青年会議所の使命には「より良い変化をもたらす運動を起こす力を得るための成長と発展の機会を青年に与える」としており、この中には会社の役職や性別、国籍、宗教などの弊害は一切なく、すべての青年が共に活動し切磋琢磨できる人財と定めています。さらには人脈を拡大していきたいと想う青年にとっても須坂市、小布施町、高山村を活動圏域とする須坂青年会議所ならばより広い人脈を構築することができ、青年会議所で共に社会課題を解決する運動の中で自然と深い人間関係をつくることが支えとなり、仕事にも信頼性のある繋がりを持つことができます。働き方改革やコロナ禍で生まれたニューノーマルの一端であるIT技術などを企業が導入したことにより、人々の生活様式から生活圏に至るまで大きな変化が生じました。活動圏域における勧誘対象者の模索を改めて行うとともに、大きな情報提供者であり青年会議所活動最大の理解者である須坂青年会議所シニアクラブにも引き続きの協力を賜りたい。また、災害へのボランティア活動からコロナ禍における消毒液配布事業や地域振興券の発行などの活動も圏域に対する信頼を大きく高め、須坂青年会議所の知名度を広く発信しており、須坂青年会議所の存在を周知している今こそ勧誘活動を推進する機会であると感じております。このように考えたとき活動圏域には共に活動できる青年は多く存在し、その中には潜在的に地域を想う青年がいることに疑う余地は全くありません。青年会議所の魅力を持ち、率先して行動しよう次世代の須坂青年会議所のために。

青少年の未来を明るく開き、地域に光を
子供たちが希望を持ち、夢を描ける機会と環境を創出する事、それが地域の未来を明るくする一つの方法であると信じています。地域出身のスポーツ選手や活躍する団体、著名人の存在が大きく関わり、身近な存在として影響を与えることで子供たちの具体的な希望を与える好循環を生み出すことも大きな要因となります。さらに、大学生の夏季合宿で有名な峰の原高原や天然パウダースノーが楽しめる山田牧場など、活動圏域の豊かな自然や季節による環境を利用することができれば地域の魅力を発信し、経済の発展にもより寄与することもできます。また、青少年に影響を与える存在は人だけにとどまらず、小布施のハイウェイオアシスに併設された屋内クライミング施設やスラックライン世界大会が開催されるなど、子供たちがリアルに触れることのできる機会を創出する事でも大きな力になり、地域に活力を与えることができます。子供たちが楽しく真剣になれるのであればスポーツの種類を限定する必要はなく、むしろスポーツという概念から脱却してもよいと思います。地域の特色にもあるように私たちの活動圏域には畑づくりから消毒、手入れ作業の大変さを超えて収穫の楽しみと食の大切さを学ぶことのできる農業、人目を引き付ける広報や時代を見据えた開発力などの豊かな感性を育める商業、常に客観的な視点をもち、細やかな技術から確かな自信と誠実さを培う工業など、様々な職業に接する機会を創出することで子供たちの未来への指標を示すとともに、子供たちへ育った地域の魅力を伝播します。また、コロナ禍に代表されるニューノーマルという未来を背景に考えるなら、YouTuberなどの有名なものから、e-スポーツの選手、WEBライターなどリアルな世界だけではなくデジタルの世界でも活躍し、子供たちの生活に強い影響を与える人が多くなっており、将来として子供たちがデジタルの世界に夢や興味を持つことも十分に考えられます。多岐にわたる可能性から自身の未来に希望を抱ける青少年の育成を通じた地域発展を目指します。

未曽有の脅威に対峙するための密接な連携
年々、災害による脅威が増していく印象を強く受けています。地球温暖化や乱獲、密輸による自然バランスの崩壊が日夜とりざたされ、近隣諸国による領海、領地への侵入が報道されるたびに不安や恐怖が頭をよぎる日も少なくありません。しかし神出鬼没である脅威に対して、何も対策を講じないことこそ真に恐ろしいと感じております。須坂青年会議所は毎年、長野ブロック協議会各地会員会議所と災害協定を結び、活動圏域の市町村とも災害協定を結んでいます。しかし協定書があるだけでは、突然発生する危機への備えとしては不安を感じます。脅威の到来や危機が発生した際に冷静を失わない知識と他者を思う心構えを修め、地域規模で共有しておかねばなりません。さらに避難場所や避難方法、備蓄の確保から新型コロナ感染予防のための新たな準備などアップデートすべき備えを行うとともに、環境に配慮する責任をもつことも視野に入れた意識が求められています。大切な人を守るために適切な知識と準備をし、自分事である認識を持ち、緊急時に手を取り合える協力体制の構築を進め、脅威や危機に対して整然と対峙できる人とまちづくりを推進します。

情報発信による共感の広がりを追求したい
須坂青年会議所の事業や活動は多くの人の目に留まる情報として発信することで、須坂青年会議所を地域や協力者、勧誘対象者へアピールすることができる重要な活動です。活動の広報を行うためのSNSの活用を続け、少しずつでも須坂青年会議所をPRしていく機会を増やしていくことが地味な道ではありますが未来につながる確かな道であると信じています。また、広い年代と地域の隅々にも活動を周知する事でより波及性を強くしていくことも大切であり、地域に根差した情報発信機関を活用し須坂青年会議所をPRしてまいります。特に気を付けるべきは確かな情報とスピード感であると同時にコンプライアンスの遵守や誤解を招いてしまう情報の拡散を防ぐための審査機関も必要であると強く感じています。慎重かつ正確な広報を引き続き継続し、組織内へは活動意欲の継続として、地域には須坂青年会議所に共感してくれるファンを増やしてまいります。

課題解決に向けた活動を地域と共に
地域に目を向けて、課題を抽出し、解決策を研究し実行するプロセスの中で、自身の成長と多くの学び、新たな人脈を得ていくことが、青年会議所で活動する大きな意義と強く感じております。しかし、私たちだけが行える活動には限界があり、大きな波及性と効果を生むためには、より多くの人や団体を巻き込み共に活動していくことが重要です。巻き込み方にもより深い繋がりを求めていきたいと考えます。情報提供や実務的な協力だけではなく、同じ目標を持った活動を共に行っていくことでより大きな事業を生み出すことができ、私たちにも大きな学びと出会いをもたらしてくれると信じており、さらには私たちの活動プロセスを協働、共有することで、固有の目的を持った人、特定の地域を想う組織、一律の業種に限定された団体など、どのような形であろうと地域が発展するための運動をおこせる力が新たに芽吹いたなら私たちの理念を最も推進させる大きな起点となるはずです。

結びに
「青年会議所らしさがない」初めて理事を受け、会議の際に指摘されたことを今でもよく覚えています。委員会の定めた年間事業計画に沿った提案をし、活動の意図も所信に通じている旨を答弁させていただきましたが、いただいた意見に納得できる適切な解を見出すことができませんでした。以来、様々な機会を経験させいていただき、私情を含む観点ではありますが一つの解を見つけました。「青年会議所らしさ」とは事業の背景や目的、実施する手法のことではなく、計画に会員の意志が詰まっているか問う意見であったと捉えました。事業発案から実行及び報告までにある多くのプロセスを仲間たちと共に目指し、悩み、相談し、協力して創り上げてきたか否かが「青年会議所らしさ」を出すことのできる唯一の要素であるとの見解に至り、人の集まりである「青年会議所らしさ」の大切さを認識致しました。事業に性別や職業に囚われない多様な価値観を持つ会員が集う強みを活かすことで、事業がより良いものとなり、地域発展により貢献し、携わる会員にも経験により資質を向上させることができます。時に会員の事情を想像し、声をかけることを躊躇うこともありましたが、仲間として成長の機会を奪ってしまっているとの見方をすればこれほど恐ろしいことはありません。すべての会員がお互いをおもいやり自身の持つ知恵を出し合い、共有できる時間の中で成長していくことができる一般社団法人須坂青年会議所を未来に繋いで参ります。


基本方針
共感により絆を強めた仲間が組織をより活性化し、まちづくりを推進する勇姿が
新たな人財を呼び寄せる好循環を創出します。

重点事業項目
・会員同士の共感を育む事業の実施
・会員拡大の推進
・青少年の未来を明るく照らす指標となる事業の実施
・脅威に整然と対峙するために必要な事業の実施
・須坂青年会議所のファン創出活動
・地域を巻き込んでの課題を解決するための事業の実施